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国内合法DeFi『JPYB』ERC20日本円ステーブルトークン

Tomoya Nagasawa | HiÐΞ
3年前
お詫びと訂正国内で暗号通貨をマスアダプションさせるには?1. DeFiの規制がグレーゾーンである2. 事業者が自由に使える日本円ステーブルトークンがない無法DeFiはマスアダプションできないトークンの法的分類と合法的な交換前払式支払手段バスケット型ステーブルトークンJPYBの特徴キャッシュレス決済との接続今後の展開今後の開発ロードマップJPY DOG 発行予定前払式支払手段ERC20経済圏のネットワークエフェクトJPYBの解釈JPYBソースコード関連リンク

企業の信用に担保された前払式支払手段のスキームを活用し、日本国内で合法的なDeFiによるステーブルトークンを中心としたマネーレゴを構築し、数千万人の消費者を抱える既存のキャッシュレス決済とも接続してしまおうというアイデアを第1回日本円ハッカソンで提唱・実装し見事最優秀賞を獲得しました!

ハッカソンに先立ち、日本円ハッカー部という分散型組織を立ち上げまして、チーム日本円ハッカー部の看板を背負っての優勝ということになります!

お詫びと訂正

当初JPYXという名前で打ち出しましたが、JPYXと言う名前の既存のプロダクトがあるというご指摘を受け、ご親切にも新しい名前を頂いたので暫定でJPYBに名称変更致しました。

こちらの認識不足をお詫び申し上げます。

国内で暗号通貨をマスアダプションさせるには?

暗号通貨マスアダプションを考える際に、UX等を通じた消費者側のペインを考え勝ちですが、実は事業者側のペインを先に解決する必要があります。なぜなら、暗号通貨を活用したプロダクトを開発して消費者に広めるのは事業者であって、規制等の制約で事業者がイノベーションを起こせない状況では何も始まらないからです。

事業者がステーブルトークンを使った決済プロダクトを開発したりDeFi事業に参入するのに大きく分けて2つのボトルネックがあると考えています。

1. DeFiの規制がグレーゾーンである

まず、日本ではDeFiの定義と規制が曖昧(グレー)です。ですので事業として進める場合には金融庁とグレーゾーン照会制度等を通じて対話しながら進める必要があり、このプロセスは非常にスローで弁護士等を通じて望んだ回答を引き出すのは至難の技です。大きな障壁となっているのは、カストディ規制と交換業規制で例えば弊社でも以前DeFiによるノンカストディアルな形であらゆる暗号資産同士を相互変換できるAnytoken Payというエスクロー決済システムを開発しましたが、こちらのプロダクトはカストディには当たらずとも交換業に相当するとの見解でNGが出ています。

また、金融庁との対話の中でスワップの伴う他社DeFiプロトコルを裏に組み込んだりUniswap等の自社開発でないDeFiに対するUIのみを提供することもNGとして回答を得ています。

2. 事業者が自由に使える日本円ステーブルトークンがない

もう一つのボトルネックが、一般消費者は日本円の代わりに使える価格がステーブルなトークンを必要としますが、事業者が自由に使える日本円ステーブルトークンは現在存在しません。

弊社で開発しているHiÐΞに置いても、JPYCステーブルトークンでの投げ銭による寄付といった機能は実装していますが、JPYCは自家型前払式支払手段にあたるので第三者事業者が決済に使うことは禁止されています。弊社が、記事を売買する機能やNFTのマーケットプレイス等にERC20ステーブルトークンを使いたい場合、自社で自家型の前払式支払手段を発行する必要があるのです。

ERC20前払式支払手段の発行自体は簡単ですが、自社発行した小さなトークンをJPYCの用に普及させていくのはこれまた至難の技です。

無法DeFiはマスアダプションできない

実は2020年の初頭に、USDステーブルトークンに担保されたWJPYというERC20日本円ステーブルトークンを分散型の匿名組織で勝手に開発して、規制側に止めようがない形で世に広めてしまうのはどうかという提案をしたことがあり、そのPoCをテストネットに公開したことがあります。

当時はロシアに亡命する覚悟があります(笑)とういことで、匿名分散型組織でDeFiを強引に推し進める事が解だと考えていたのですが、自身の事業でのプロダクトを通じて金融庁と対話を重ねるうちに、匿名分散型組織が勝手に作った日本円ステーブルトークンがマスアダプションできる可能性はほぼないとの見解に変りました。当時は日本社会に対する認識が未熟で中二病を患っていました。(僕は日本居住者ではありません)

ですので、ここからは国内無法DeFiの元祖提唱者がその後事業を通じて金融庁とコミュニケーションして得た見解です。

僕は匿名分散型組織の無法DeFiに反対ではありませんし(むしろ関係者が法的なリスクヘッジできるハッカー集団なら超絶賛同します)、プロトコルが小規模の玩具で終わるのならば問題視されない可能性も高いでしょう。ですが、それが日本の経済活動を大きく変えて1億3000万人にマスアダプションする世界線を考えると絶対に何らかの規制が入ります。開発関係者側が摘発できずプロトコルを止められなかったとしても、そのプロトコルを使う事業者側が規制されて終わりです。ICO紛いの資金調達で大金を集めた場合、脱税等の問題も生じて来るかもしれません。規制がかかっても匿名分散型で強引に進める場合、最悪のケースとして規制する国側としてはテロ組織との戦いと変らなくなってくるでしょう。

無法DeFiで日本円ステーブルトークンを作って日本社会にマスアダプションさせる場合、関係者全員が絶対に身割れしない覚悟で進める必要があり、これは現実的ではないとの考えに至りました。無法が不法になった場合、ツイッター等のソーシャルメディアに何らかの個人情報を登録している時点で携帯プロバイダー等を通じて身分照会され得ます。また、開発者であれば筆跡と同じでコードの書き方で身分特定される可能性が多分にあります。セキュリティマキシマリストの匿名ハッカーとしては、この懸念点が絶対に拭えないなと考えました。

解決策のひとつとして、国内の規制に反した活動をしたい場合、海外法人を作って海外の法律で守ってもらうのが日本の事業者がやっていることだと思います。

但し、日本国内でオープンにブロックチェーンのイノベーションを進めるには、無法DeFiではなく合法DeFiによるステーブルトークン経済圏が必要なのです。そこが確立できれば、事業者は確信をもってDeFi事業に参入することができ、暗号通貨を扱う事業者が増えることで日本円を基軸としたイノベーションも一気に進むでしょう。

国内合法DeFiはブロックチェーンのイノベーションで日本を開国します!

トークンの法的分類と合法的な交換

ここで大事なことを言います。

暗号通貨の規制はブロックチェーンや暗号通貨の技術自体に掛かっているわけではなく、暗号通貨の法的分類に掛かっています。

ERC20だから規制されるわけではなく、国内の法律で暗号資産分類のトークンに当たるからカストディや交換業等で規制されるのです。使われる技術ではなくお金の分類と変換の組み合わせによって何が合法・無法・不法かが変ります。

JBA(日本ブロックチェーン協会)の見解参照

こちらの図に通貨やポイントの分類と何と何の交換が可能かが一覧になっています。ここで注目して頂きたいのは、

  • 前払式支払手段同士の交換
  • 日本円で前払式支払手段の購入
  • 暗号資産で前払式支払手段の購入
  • 企業ポイントと全ての種類の交換

は交換業に当たらずに合法であるということです。 繰り返しますが、ERC20であるかどうかではなく暗号資産に分類されているかどうかが規制対象かどうかの判断基準です。

実際にHiÐΞでも暗号資産とJPYCの自動変換をする投げ銭システムや投げ銭の還元に企業ポイントであるWPを発行する等して、合法的にERC20の経済圏をどんどん拡大しています。

企業ポイントと前払式支払手段をERC20に代替することで国内で合法的な事業として展開できるDeFiの範囲が大きく広がります!

そんなERC20経済圏を実現して、国内のマスアダプションを一気に推進しようという提案が今回の

JPYB国内合法DeFiプロトコル

です。

前払式支払手段バスケット型ステーブルトークン

JPYB国内合法DeFiプロトコルを簡単に説明すると、USDのステーブルトークンをバスケットにしたmUSDステーブルトークンを発行するmStableという海外のプロトコルがありますが、前払式支払手段をバスケットにしてその日本版を作り、キャッシュレス決済経済圏の何千万人の消費者もERC20経済圏に接続してしまおうというものです。

プロトコルのコアとフロントエンドUIはハッカソンにて既に実装済みで

jpyc-ocrybit.vercel.app

でKovanテストネットが公開されています。(実質20時間くらいで実装したので荒削りです)

JPYBの特徴

  1. 企業の信用に担保された前払式支払手段ERC20日本円ステーブルトークンをバスケットにした分散型日本円ステーブルトークンのDEX。
  2. バスケットトークンをステーキングすることによって受け取るJPYBは、保有しているだけでDeFiの自動運用APYとスワップ手数料から配当を得ることができます。
  3. バスケットトークンは常に1:1で相互交換できます。
  4. 各トークンのバスケット比率を70%以上にする流動性供給やスワップはできません。
  5. バスケットバランスを改善するスワップには手数料がかかりません。
  6. PayPay支払いでJPYDを購入することができます。Chainlinkオラクルを利用したセキュアで自動化されたフローです。

キャッシュレス決済との接続

今回のデモでは、PayPayの決済APIとスマートコントラクトをChainlinkオラクルで繋いで購入を自動化していますが、このフローが実現可能かは事業者が自家発行の前払式支払手段の購入をするためのPayPayの審査に通るかに依存してきます。この技術はAPIをオラクルで読み込むんでミントするアダプターコントラクトとして実装されているので、PayPayに限らず他のポイント決済や銀行APIとの組み合わせで応用できます。今回のハッカソンではPayPayのAPIが一番使い勝手がよかったため、デモとして実装しました。

国内の規制では前払式支払手段同士の交換や企業ポイントを前払式支払手段と交換することは合法です。

今後の展開

ハッカソンの賞金として頂いた30万JPYCを活動資金に日本円ハッカー部でプロジェクトを管理してメインネット公開までに必要な機能を開発していきます。

ハッカソンの様子やプレゼンはチームメンバーが書いたこちらの記事を参照して下さい。PayPayでの購入実演等もしています。

第一回 日本円ハッカソンの結果報告(日本円ハッカー部資料)

今後の開発ロードマップ

  1. 外部DeFiで自動運用するためのアダプターコントラクト開発
  2. ガバナンスによるバスケットトークンの選定やパラメータ管理
  3. コントラクトのアップグレーダビリティ
  4. 廃止トークンやペッグの外れたトークンの清算プロセス

JPY DOG 発行予定

国内第二のERC20自家型前払式支払手段として JPYD(JPY DOG) を発行予定です。こちらはHiÐΞ内での記事の売買や公開予定のNFTマーケットプレイスの決済手段として利用可能になります。

前払式支払手段ERC20経済圏のネットワークエフェクト

また、ERC20前払式支払手段発行の利便性を周知してJPYBに賛同していただける事業者を募集したいと思います。

JPYC社でも第三者型の前払式支払手段の発行を予定しておりこちらを利用すれば決済プロダクトを作れるようになるでしょう。しかし、自社で自家型前払式支払手段を発行することにはキャッシュフローを改善したり自由度の高いプロダクトを作れる等大きなメリットがあり、消費者がJPYCや他の自家型前払式支払手段との変換が容易にできるプロトコルの存在によって、各事業者が独自に切り開いたネットワークを相互接続してERC20経済圏を一気に拡大することができます。JPYC社だけでERC20決済のマスアダプションを実現するのは非常に困難かと思います。JPYC社にとっても新規にERC20を発行する事業者にとっても各社トークンのインターオペラビリティを分散型に実現してユーザーをシェアできるwin-winな仕組みがJPYBです。結果としてJPYC保有者も激増するでしょう。

また、既に数千万人の消費者を抱える王手キャッシュレス決済のポイントがERC20化されたときに、このプロトコルの存在で非常に大きなネットワークエフェクトが発生し、国内に一気に暗号通貨のマスアダプションが進むでしょう。JPYB合法プロトコルによって事業者も参入し易くなります。

また、ステーキングされた各種日本円トークンが外部のDeFiによって自動運用されることにより、日本円経済圏に外貨を取り込むプロトコルとしても機能するでしょう。

JPYBは日本を豊かにします!

JPYBの解釈

各トークンをステーキング(流動性供給)することによって受け取れるJPYBですが、こちらは暗号資産という解釈になるかと思います。JPYBは保有しているだけで配当を得ることができ、自家型のトークンを持っていない第三者事業者も日本円ステーブルトークンとして自由に利用することができます。

上のトークン分類を見てもらうと分かるのですが、前払式支払手段での暗号資産の購入の可否は実は未定義な部分です。しかし、このプロトコルは前払式支払手段をステーキングしている証としてLPトークンを受け取っていると解釈するのであれば不法性はないとも考えられます。

また、そもそも交換業が必要となるのは事業として行う場合であり、このプロトコルは一企業が事業として行うものではなく企業の信用に担保されたトラストフルなトークンを用いて、不特定多数のユーザーが分散的・トラストレスに成立させるものです。

そのためのガバナンストークン等も発行されて、活動もDAOとして進めて行きます。

これらの解釈を今後、業界団体や金融庁との対話を通じてクリアにしていくために日本を代表する唯一無二のハクティビスト、JPYC社のCEOである岡部典孝氏をハッカソンの生中継にて公開スカウト致しました!

ハッカソン終了後、既に業界団体への説明を進めて頂いているようです!

JPYBソースコード

ハッカソンで開発したスマートコントラクトをGithubで公開しました。

github.com/JPYHackers/JPYX

時間制限がある中での開発だったのでシンプルですが、既にKovanテストネットで稼働中です(UIは荒いです)。

また、フロントエンドに関してはコードがカオスな状態のため整理できるまで一旦公開を控えます。

関連リンク

日本円ハッカー部のメディア
こちらで活動報告をすると報酬が貰えます!

日本円ハッカー部Discord
Discordにて部員を募集中で近日コミュニティマネジャーもついて本格始動する予定です!

JPYB国内合法DeFiデモサイト
KovanテストネットでJPYC、JPYD、JPYEを使って遊んで頂けます。PayPayでの購入はサンドボックスです。


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